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富野監督「次は1/1イデオンをスカイツリーのとなりに(笑)」

ガンダムの次は「1/1イデオンをスカイツリーのとなりに(笑)」富野由悠季監督・湖川友謙氏・福井晴敏氏が『イデオン』を語った――衝撃の“『サンライズフェスティバル2010夏』前夜祭イデオンナイト!”をレポート

 現在テアトル新宿で絶賛開催中の『サンライズフェスティバル2010夏』。『機動戦士ガンダム』や『装甲騎兵ボトムズ』シリーズ等、数々のロボットアニメを世に送り出していることで知られるアニメ製作会社・サンライズの、過去の名作群を日替わりで上映するというこのイベント。今回はその先駆けとして行われた第一夜「前夜祭イデオンナイト!」の模様をお伝えする。

 タイトルにもなっている『伝説巨神イデオン』とは『機動戦士ガンダム』の生みの親である富野由悠季監督が、ガンダムに続く作品として世に送り出したロボットアニメ。

 「イデ」と呼ばれる無限のエネルギーをめぐる、地球人とバッフ・クラン人の戦争を主軸に、戦争を生み出す人間のエゴやそれに翻弄される人間の内面と、「神」や「命」という壮大なテーマの両方に真正面から取り組んだ作品で、途中でTV放送は終了したが、ラスト数話分を劇場版「発動編」として、TV版総集編の「接触編」と共に公開。劇場版は「富野アニメの最高峰」と評する人も少なくない。

 今回の「イデオンナイト」は、トークショーと、劇場版『接触編』と『発動編』をオールナイトで上映する二部構成となっており、トークショーではアニメ評論家の藤津亮太氏を司会に、富野氏、キャラクターデザインの湖川友謙氏、そしてファン代表として、最近では『ガンダムUC』等で富野氏と関わりの深い小説家の福井晴敏氏をゲストに迎え、TV放映後30年の観点からイデオンを改めて語ってもらう内容となった。

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●富野氏「劇場版30周年記念に“1/1”イデオンを作って欲しい。105mですが(笑)」


 まず、それぞれに“イデオン30周年”について語ってもらう。福井さんは「自分も含めて、今日ここに来ている人達はTVシリーズよりも『発動編」を見て人生が変わった人達。僕もあれ以来、世界を見る目が変わってしまった」と、当時受けた衝撃を告白。富野監督は「今の話を聞いて思ったんですけど、再来年で『発動編』から30年なの? それなら今から“発動編30周年記念”のためにイデオンの“1/1”を作って貰いたいな、105mなんで、東京スカイツリーの側にでも」と発言。会場は爆笑。

 ここの流れで湖川さんも、最初は「バッフ・クランの私としては、30年も経ってまたロゴ・ダウの異星人(バッフ・クラン側から見た地球人のこと)戦うのか、という思いがありますね」と。「30年も経ってるんだから、こうして集まってくれる人の中に、一人ぐらいは大金持ちがいるんじゃないかと。だから(1/1のイデオンの立像建設を)どなたか出来ませんかね?」と語り、さらに会場を盛り上げる。

 印象に残ったシーンや、『イデオン』から受けたインパクトについての質問には、「映画そのものが、何か新しいものを獲得していくんじゃないかという感じがあった。人間が人間を浮かび上がらせるそれまでの作劇と違い、“イデ”という人間を超えた存在と対比させて人間全体を浮かび上がらせる。これをやられてしまったら、それ以上の作劇というものは存在しない。いわば究極の作劇。正直『イデオン』を超える作劇をいまだに見たことがない。あの時『イデオン』を見ていなかったら、自分は今ここにはいない、きっと違う人生を歩んでいた」と福井さんが大絶賛すると、会場からは割れんばかりの拍手が巻き起こった。

 これに対し富野監督も「作っているときに一つだけ“自分は気が狂うな”ということだけは自覚していました。“禁じ手”に手を出してしまったなと。だからあの『発動編』のラストは、気が狂う寸前の状態から二、三歩手を緩めたものです。それが妥協だという自覚はあります。そこまでの経験をした結果が僕にとってはその後30年ロクな仕事をしていないという現状なのですが、逆にいえばあそこまで行かなくては“作品”とは呼べないということもわかりました。そういう意味では『イデオン』に触ってはいけないということ。ただ一つだけ有り難いことはアニメであったということ。もしこれをアニメではない形で作ったら、かなり危険な作品になっていたという予感はあります」と、『イデオン』が、作り手であった監督にも大きな影響を与えてたことを告白。

●「ドバとハルルの会話シーンは印象深い。自分と重なってしまい泣いた」

 また『発動編』では作画監督だけでなく、ほぼ全ての動画をチェックしたという湖川さん。

 「彼(富野監督)を理解しないと作品作りはできない。だから彼の歩き方とか、そういう普段の様子から読み取っていくしかない。絵コンテからも、彼の気持ちやその時考えていることを読み取っていく。他のどんな監督ともこういう仕事はしたことがない」と、改めて『イデオン』という作品の原動力が富野監督その人であると語った。

 富野監督は「湖川さんに発注した瞬間に作品のディティールはほとんど決まる。自分一人の気分だけではキャラクターにあんな芝居はさせられない。『発動編』では湖川さんのキャラクターが寧ろ芝居を求めてくるような気がした」と湖川氏のデザインを評した。

 この他にもOPのイデオンの変形シーンの原画は監督が描いていたことや、当時あまりに衝撃を受けた福井さんが、『発動編』公開終了後も上映している映画館を探し、合計5回も『発動編』を見たこと。また、印象に残ったシーンを監督に聞くと「ドバとハルルの会話のシーンは今になっても我ながら良く出来たシーンだと思う。ただ、あの父娘を見ていると、自分と重なってしまい、自分も娘達に申し訳なかった、という気持ちになってしまい、5、6年前にあのシーンを見て泣いた(笑)」と苦笑交じりに語る場面も見られた。

 ここで、ゲストとしては参加出来なかったが、最近twitter(ツイッター)で熱烈なイデオンファンを公言した女優の坂井真紀さんから、色紙と富野監督と湖川さんへの質問状が届けられ、それぞれ富野監督流のキャスティング論や、演出論などが語られた。

 最後に『イデオン』という経験を経て変わったことについて、「この作品に出会っていなければ小説家をやっていなかったと思う」と福井さん。

 湖川さんは「僕を見出してくれた最初の人が富野さん、この作品に出会わなければアニメ業界を辞めていたと思う」とコメント。

 そして富野監督は「僕のような人間が今日まで生き永らえる事ができたのは、当時あそこまで(気が狂いそうになるほど)考えたから。それでもまだ足りないところはあるし、まだ考えなければいけないことはあるけれども、まだ自分にも何か出来るかもしれないと思わせてくれるという、宝を手に入れた気分」と、それぞれ万感の思いを込めて振り返った。

 最後には湖川さんが模造紙にキッチ・キッチン、ハルルを治療したバッフ・クランの女性、主人公のコスモ・ユウキらキャラクターの絵を描き、会場のファンにプレゼントするという、ファン垂涎のプレゼント大会も行われ、述べ二時間にも及ぶトークショーは終了し、オールナイトの『接触編』、『発動編』の上映が開始された。

 サンライズフェスティバルは、9月3日(金)までテアトル新宿で絶賛開催中。詳しい上映スケジュールは公式サイトでチェック!

<TEXT:渡辺 佑>

>>サンライズフェスティバル 公式サイト
>>サンライズフェスティバル 公式twitter

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