声優になる!マガジン
2004.06.30  vol. 2
声優になりたい人、業界に興味のある人のためのメールマガジンです。
声優のインタビューと声優に必要なトレーニングや知識をレッスンします。
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こんにちは。
雷鳥社「声優になる!マガジン」エディターのオオネダです。
日本の文化ともいえるアニメ。
そのアニメに欠かせない存在である「声優」さんに迫るこのマガジン。
「声優さんになりた〜い!」と思っている人たちや、「アニメが大好き☆」という人たちに役立つ情報が満載のメルマガです。
創刊号は、「新世紀エヴァンゲリオン」主人公・碇シンジ役の緒方恵美さんのインタビューをお届けしました。今週も引き続き緒方さんの魅力に迫っています。

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私が声優になったワケ
声優である前に役者として生きる 緒方恵美インタビュー
TX系アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」主人公・碇シンジ役で一躍トップ声優になった緒方恵美さん。「私が声優になった理由(わけ)Vol.1」では、小学校の学芸会で開眼し、高校在学中からプロの仕事をしていたという驚くべき事実についてうかがった。
第2回目は、芝居への情熱、そして役者から声の分野に転向したきっかけについて迫った。
■ Profile ■
緒方恵美(おがためぐみ)
東京都生まれ。東京声専音楽学校(現・昭和音楽芸術学院)ミュージカル科・研究科ミュージカルコース卒業後、「ネヴァーランド・ミュージカル・コミュニティ」に劇団員として参加。声優としては、1992年『幽☆遊☆白書』の蔵馬役でデビュー。『美少女戦士セーラームーン』セーラーウラヌス(天王はるか)役、『新世紀エヴァンゲリオン』主人公・碇シンジ役など、様々な話題作品に出演。また、インターネットラジオ「緒方vs土門のUKIUKIミ☆漢組すま〜と!」ではパーソナリティもつとめる。ミュージカル時代に鍛えた歌唱力・表現力を生かした音楽活動では、歌手としてだけでなく、詞曲提供、プロデュース等、幅広く活動をしている。
オフィシャルHP「M.O.bay」

インターネットラジオCD
緒方恵美オフィシャルHP M.O.bay 内にて好評オンライン中の「緒方vs土門UKIUKIミ☆漢組すま〜と!」。その番組をパソコン専用、音楽専用の各CDに収録。オトナの常識に答えられなかったら謎のスペシャルミックス罰カクテルを飲むコーナーや、自身がホストやホステスに変身するコーナーもあり、今秋には公開録音も計画中! 
WILD WIND/PC用(5週分収録)/980円(税込み)・CD用(2週分収録)/800円(税込み)

Stop,and Go→
緒方恵美 名義としては約5年ぶりとなる、オリジナルアルバム。自らの作詞作曲の4曲に加え、岡崎律子さん提供の新曲2曲、その他、中島みゆきさん、他のカバー曲にセルフカバー曲も収録された内容も豪華な1枚
発売元:ランティス・販売元:キングレコード/3‚000円(税込み)

アイタイ。 〜 passed‚ and next 1992-2002 〜(4枚組)
声優生活10周年を記念して発売されたベストアルバム。自らセレクトされたという全56曲を更に「キャラクターソング」「ガールボイス」「ボーイボイス」「シングル」のカテゴリー別に4枚のCDに収録。歌詞カードの他に撮り下ろし写真満載の豪華ブックレット付き
発売元:ランティス・販売元:キングレコード/6‚000円(税込み)

Prominence 緒方恵美出演リスト本1992〜2000spr.
声優デビューからの8年間がギッシリ詰まった一冊。出演リストはもちろんのこと、何と、すべての作品に本人のコメント付き!商業誌ではけして語らなかった各作品に対するホンネがセキララに…!?他にも、超豪華なゲストの方々による直筆書き下ろしイラストやメッセージもあり内容は盛沢山!
WILD WIND/2‚000円(税込み)

グッズの取り扱いについての詳細はオフィシャルHP M.O.bay をご覧ください。

チャンスは自分でつかむ
―― 自ら養成所に入り、高校在学中からプロの仕事をしていたことには驚きました。未成年である緒方さんをご両親はどうみていたのでしょうか?

大反対でしたね。だからオーディションも内緒で受けました。

私の父はもともと東宝におりまして、昔、宝塚の指揮者をやっていたり、トロンボーンを吹いたりしていました。越路吹雪さんがやっていらした頃のミュージカルの音楽監督などもしていました。そういう関係もあって、業界の裏を見てきていたので、絶対ダメだといわれていました。

でも今となっては父が反対した理由がとてもよくわかりますが。

―― 大反対だということは、養成所のレッスン料などはご自分で?

ええ。自分でバイトをして。中学の時から私はお小遣いをもらっていませんでしたから、その頃からバイトをしていました。


何が何でも芝居がやりたい
―― 内緒でオーディションを受けていたとのことですが、ご両親をその後、どう説得したのですか?

父親にずっと反対されていたのですが、大学に入学できたら劇団とかに入ってもいいよと。最終的には親心でそういう約束をしてくれたんです。
得意科目が理数系だったので、地学と数学で受験できるところを何とか探して受験しました。それで受かったのが、東海大学海洋学部でした。

―― お芝居がやりたくても、そこまで根性のある方って少ないですよ。

ただ私自身は、芝居だけできればいいと考えていたので、大学のことはあまり深く考えていなかったので、その学部が静岡にあるって気づかなかったんですよ(笑)。なので、大学を1年で勝手に自主退学して帰ってきてしまったんです。そうしたら親に勘当されてしまいまして。

仕送りもなく仕方ないから、貧乏暮らしをしながら役者を目指しました。お風呂もなかったので、台所で体を洗ったりもしました。最近は若い人でも、最初から風呂付きのアパートとかに住んでいて、ありえないだろう! とかって思いますが(笑)。

―― もうちょっと苦労しろよみたいな。

いえいえ。恵まれていていいなって思うだけです。
ただ私は、ちょっとでもお金があったら生活に回すのではなくレッスンに行きたかったし、チケットを1枚でも多く買いたかったから。

―― それは観劇する方のチケットですか?

レッスンするためのチケットです。もちろん芝居も観たいですけど、ミュージカルチケットってとても高いじゃないですか。なので、しょっちゅう観に行くことはできません。だから、劇場案内のバイトとかをして、そこでみたり、他の劇場のものをせしめてきたりしていました(笑)。
 
劇団の解散が声優への第一歩になる
―― 大学を1年で辞めた後はミュージカルを勉強し、劇団に所属されていたようですが声の仕事をしようとしたきっかけは?

劇団に所属しながら商業演劇、ミュージカルなどに出演していたのですが、腰を痛めてしまって。それがだんだんと歳を経るごとに悪化してきてしまったんですね。

1日に6時間以上踊っているという過酷な環境なので、それに腰がだんだんと耐えられなくなってきたんです。劇団の解散公演の時点で相当な痛みを感じるようになっていて。それで自分でも踊るのをメインにしたお仕事は難しいなと思ったんですね。

私はミュージカルでの配役で、少年役であったり、男役であったり、男に化ける女役であったり、そういった役をふられることが多かったんですが、そんな中で、これからどうしようかなとミュージカルに関わっていたスタッフの人たちと話していた時、「少年役をやるとすごく華があるから、少年の声をやるような事務所にいってみたらどうか」と勧めてくれたのがきっかけです。

―― では事務所に所属し、声優のお仕事を始められたのですね?

最初、事務所を紹介していただいたのですが、声のことに関していえば何も知らなかったので、逆に、どういうところか知らなかった事務所より、一から勉強をと思って、青二プロダクションの養成所に1年だけ通ったんです。

青二がすごいなと思ったのが、現役で仕事を続けてきていらっしゃる方で、しかも役者を見るプロフェッショナルの方たちが教えているところですね。役者の先生のレッスンもあったのですが、特別講義みたいなもので常勤ではなかったんです。つまり、スタッフの人たちがいい形で伸ばそうとしてくれていたんですね。役者の先生だと個々人のやり方にどうしても片寄る部分があるから、というのがその理由のようでした。

確かに、役者さんでちゃんと客観的に見れて、ニュートラルに指導してくれる方ってかなり少ないと思いますから。

―― 学校の演劇部などには興味はありましたか?

学校の演劇部は癖がつきますからね。それが嫌でした。学校の演劇部に限らず、こういういい方をすると語弊があって恐縮なんですが、きちんとした指導者のいない声優の専門学校とか養成所でも同じことはいえると思います。

つまり、本当にプロフェッショナルな方が教えているのと、「あなたはどこで芝居を?」という方が教えているのでは全然違うわけですよ。

養成所ですら問題の可能性があるのにもかかわらず、全部とはいいませんが学校の演劇部のほとんどが、素人に近い指導者のことが多いと思います。それでは大なり小なり歪みがでます。いわゆる素人が素人に「これが正しい」と教えるわけですから怖いと思いますよ。

―― 養成所や専門学校時代に、好きなレッスン、反対に苦手だったレッスンはありましたか?

役者になりたいわけですから何でも好きでした。好きなことを仕事にするためにレッスンしているわけですから、それが苦になるっていうことはないです。例えば、滑舌が悪くてもそれを苦手なものとしてとらえず、克服すること自体が楽しかったから・・・。

少し話がズレるかもしれませんが、例えば親の反対があってもどう納得してもらうか、親を説得するという行為だって楽しいレッスンのひとつでした。
声優は役者
―― 声の仕事を始めた時に今までとレッスンの方法を変えたりしましたか?

声優は役者。ですから、声優だけのトレーニング方法はないと思います。特別にレッスン方法を変えることはありませんでした。まず役者でなければ声優ではないので……。

―― その当時の自分をどう評価されますか?

当時を振り返れば、いくらでも反省することはあります。でも自分なりがんばったからこそ、その後、いいこともいろいろあったと思います。だから評価としては、がんばっていたのではないかと(笑)。


控えめながらも真の強さを感じた緒方さんのインタビュー。
来週も緒方さんに迫ります!





演技


声優になるための練習問題
声優ってどんな仕事? どうしたらなれるの? なるにはどんなトレーニングが必要なの? そんな疑問にお応えするべく、毎回少しずつですが声優になるために必要な知識やトレーニング方法を紹介していきます。東京・荻窪にある声優・俳優養成所 松濤アクターズギムナジウム の監修・協力により刊行されている『はじめての声優トレーニング』『声優になるための練習問題』(雷鳥社)という本をもとに、声優の世界をひもといていきます。

東京・荻窪にある声優・俳優養成所 松濤アクターズギムナジウム
「良い声」を出すために

「良い声」とはもともとの声質の問題ではなく、「良い発声」をすることがそれにつながるのです。だから「声質が悪いから声優には向かない」ということは全くありません。正しい呼吸法、正しい発音を学んで、まずは聞き手に明確に届く声を発声してみましょう。

あなたは自分の声を知っていますか? 

ふだん聞いている自分の声は、内耳(ないじ)を伝わってきているので他の人が耳にする声とは違うものです。

自分の声を知るために、声を録音して聞いてみましょう。朝と夕方、暑い日と寒い日など、時間や気象条件などによっても声は微妙に変わるので、いろいろなコンディションで録音すると、自分の声をよりよく知ることができるでしょう。

これからのトレーニングにおいても、こまめに録音して自分の声をチェックすることをおすすめします。トレーニングを積むにつれ、自分の声や表現力に変化があらわれていることに気づくはずです。

「良い声」を出すために、体の余分な力を抜いてリラックスすること、これは基本です。体のどこかに余計な力が入ったまま声を出すと、喉が締めつけられて遠くまで声が届きません。

次号でリラックス体操を伝授いたします。
はじめての声優トレーニング〜声のテクニック編(CD付)
「耳で聞いて学ぶ」ことの大切さに注目し、ひとりでもより効果的に学べるように、発音練習から朗読、ナレーション、オリジナル・ラジオドラマまで、プロの技術を完全収録
雷鳥社/1‚890円(税込み)

声優になるための練習問題100
「声優」になるために必要な知識や技術のほか、オーディションの内容からアニメ・洋画などさまざまな仕事の情報までを、わかりやすく解説。声優に「なりたい」を「なる」に変えるための入門書
雷鳥社/1‚470円(税込み)



編 集 後 記
早くも2回目の編集後記です。「やる気はあります。」とよく聞きます。でもそれを行動に移して見せられる人は少ないのではないのでしょうか? 行動に移さないやる気ってどうなの?って緒方さんに尋ねられた気がしました。
皆さんはどうですか?(Takahiro Hashimoto)
問 い 合 わ せ
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